平成22年仕事始め式 市長あいさつ骨子

T 平成21年を振り返って
■ 昨年を振り返ると、全国的な状況としては、
  ・経済・雇用情勢の低迷
  ・新型インフルエンザの流行
  など、人々の暮らしに大きな影響がもたらされた1年だった。

■ 本市においても、こうした厳しい社会経済状況への対応に追われたが、その一方で、将来の飛躍を支える礎が徐々に形を見せ始めた年でもあった。

1 将来の発展を支える礎
(1)環境で国内外をリードする都市 〜環境モデル都市の取組みの推進〜
■ これまで先輩諸氏や職員の絶え間ない努力によって行ってきた環境施策や環境外交が本市のまちづくりの礎となりつつある。

■ 低炭素社会の実現を目指して、昨年は、
・水素ステーションの完成、水素燃料電池自動車の実走試験実施など、北九州水素タウンにおける取組み
・次世代エネルギーパークのオープン
・太陽光アーケードや太陽光発電ルーフの着工、太陽光多機能テラスの完成など、紫川エコリバー構想の推進
・小中学校や博物館などの公共施設への新エネルギーの導入
など、環境モデル都市の具体的な姿が徐々に現れ始めた。
 
■ こうした新たな取組みや、公害克服、環境国際協力、循環型社会づくりなどの実績について、改めて世界にも誇れるものであると実感したのが、しゅうきんぺい習近平中国国家副主席による本市の環境政策の視察である。

■ しゅう習副主席が来日時の視察先として、自ら本市の環境政策を選択されたというのは大変光栄なことであり、環境政策に携わった先人の方々の偉大な努力の賜物であると思っている。
副主席の視察を「世界の環境首都」に向けた飛躍の契機として、さらに取組みを加速したいという思いを強くしたところである。

(2)新たな都市の魅力と市民の誇りの創造〜世界遺産登録に向けた取組みの進展〜
■ 新日鉄八幡製鉄所の旧本事務所、旧鍛冶工場、修繕工場がユネスコの世界遺産暫定一覧表に追加記載された。
これは、本市にあるこれらの施設が、日本の近代工業化の過程を明確に示す資産として世界的に高い価値を有すると評価されたということである。

■ “北九州市の宝が世界の宝になる”という市民の期待も高まっている。これは何よりも、市民が胸を張って、自分が住むまちを自慢できる「シビックプライド」の醸成につながるものであると同時に、本市のにぎわいづくり、新たな産業振興に大きく貢献してくれる、大切なまちの宝になると思っている。

■ 登録に向けた課題の解決には数年の期間を要するが、国際シンポジウムの開催などを通じて、大きな一歩を踏み出すことができた。

2 厳しい社会経済情勢の中での「元気発進!北九州」プランの着実な推進
■ このように本市の将来の飛躍につながる取組みに加えて、
(1)にぎわいづくり
・「ディスカバー北九州」として、市内各地で開催したイベント
・松本清張生誕100年記念事業
・北九州港開港120周年関連イベント等
(2)子育て・教育の充実
・乳幼児医療費支給制度の拡大
・中学校完全給食の実施
・「子どもの未来をひらく教育プラン」の策定等
(3)中心市街地の活性化
・魚町ジョイントアーケードの工事着手(年度内には竣工予定)
・メイト黒崎への富士通コミュニケーションサービス鰍フ黒崎サポートセンター
の開設等
など、「元気発進!北九州」プランに基づく取組みも着実に進めることができた。職員各人の努力に感謝する。


U 平成22年を迎えて
■ そして、今年は、このような昨年の努力を生かしながら、飛躍に向けた方向性を確かなものにしていく年ではないかと考えている。

■ そのキーワードは「環境」と「アジア」である。
   
■ 昨今の地球温暖化、資源・エネルギー問題に対する危機感の高まりや、中国をはじめとするアジア地域の発展を受け、各国政府や企業だけでなく、都市レベルでも「環境」と「アジア」を中心とした戦略づくりを急速に進めている。

■ このような時代潮流の中で、先進的な環境政策に取り組み、アジア地域の環境改善にも貢献している本市は、今後大いに飛躍していく上で、最適のポジションにある都市であるということをしっかり認識しなければならない。

■ そのため、アジアの玄関口に位置している地理的優位性とアジアの成長力を十分に活用した戦略が重要である。各部局は、アジアの経済、人材、技術の活用を念頭に置きながら、政策立案にあたってほしい。

1 環境モデル都市の取組みの推進
■ 環境問題の重要性が世界的に浸透し、わが国においても、温室効果ガスを25%
減ずるという目標を表明したことから、今後、官民を問わず、環境対策の優先度はますます高まってくるだろう。

■ 昨年からの取組みを着実に進めるとともに、今年は
・東田地区において、太陽光や風力等の新エネルギーの導入などにより、地域単位での最適なエネルギー利用を実現する「スマートコミュニティ構想」の着手
・次世代エネルギーパークや紫川エコリバー構想などの「見える化」「感じる化」プロジェクトの進展による低炭素社会像の具現化
 ・アジア全体の低炭素化に貢献するベースキャンプを目指す「アジア低炭素化センター」の開設
などに取り組む。  

■ これらの環境モデル都市実現のための取組みは、本市にとどまらず、日本の新たな成長戦略にも成り得るものであり、国にも積極的に働きかけていく。

2 「元気発進!北九州」プランの具体化
■ これらの取組みと並行して、「元気発進!北九州」プランに基づく取組みも着実に進めていかなければならない。プランも2年目を迎えるので、“北九州が変わってきた、新しくなった”という姿をより具体的に示していく。

(1)産業振興・雇用創出
■ 雇用情勢は厳しさを増しており、緊急経済・雇用対策は引き続き重要課題である。

 ■ また、ものづくりなど、本市の産業を支え続ける中小企業に対しては、地元の優れた人材の活用、技術力や経営力の強化などを支援し、地域産業の活性化、競争力の強化を図っていく。
 
■ あわせて、中長期的な産業戦略の視点も忘れてはならない。
環境や情報など先端・成長産業の育成、自動車や半導体など、経済波及効果の高い産業の集積なども進めていくことが必要である。

(2)文化を育むまちづくり
■ 今年は、九州厚生年金会館のリニューアルオープン、黒崎副都心「文化・交流拠点地区」でのホールの工事着工など、本市の文化拠点は新たな展開を迎える。

■ また、新たな取組みとして、
・「(仮称)日中韓東アジア文学フォーラム」
・火野葦平没後50年記念事業
を実施し、東アジアの文化的な交流を深めるとともに、葦平が生まれ育った北九州市を全国に発信していく。

■ そして、世界遺産登録に向けた取組みは市民、企業を巻き込んで盛り上げていく。登録は市民の誇りの醸成、ブランドイメージの増強、広域連携の拡大、産業振興など、その波及効果は絶大である。

■ こうした“まちのたから”とも言える高い価値を有する場所やゆかりの人物を単なる“点”で捉えるのではなく、過去、現在、そしてこれからの展開という“時間軸”で捉えることが重要である。
それによって、このまちにしかない物語が浮かび上がり、まちの個性、市民の誇りへとつながるものと考えている。
(3)子育て・教育日本一に向け着実な取組み
■ これまで子育て・教育日本一を実感できるまちを目指し、会議やタウンミーティングなどを通じて、多くの市民や学識経験者、企業関係者などと子育て・教育について丁寧な議論を重ねてきた。

■ その成果として、昨年は、“思いやりの心をもつ、自立した子どもをはぐくむ”ことを目標とする「子どもの未来をひらく教育プラン」を策定し、子育てについては、次世代育成行動計画(後期)の中間案がまとまり、今年度末には成案が得られる。

■ 子育て・教育日本一は非常に高いハードルであるが、これらの計画に基づき、多くの市民が出産・子育て、教育に高い満足感を得られるまちづくりを着実に進めていく。

(4)健康福祉のまちづくりの推進
 ■ 高齢化の進展に加え、昨今の景気低迷、雇用不安などにより、福祉行政に対する市民の期待はますます高まっている。

 ■ 多くの市民が、住みなれた地域で健やかに安心して暮らすことができるまちを実現するために、健康づくりや介護予防、高齢者の生きがいづくりなど促進していく。

 ■ 市民ニーズは多様化している。行政の既存の制度だけで対応するのではなく、地域福祉のネットワークの充実をはかりながら、NPOなどとの協働をさらに進めていくことが必要である。

(5)地域主権時代に向けた準備
■ 地域主権時代に向けた動きが加速している。昨年、内閣府に「地域主権戦略会議」が設置され、私自身もその構成員に就任した。
   住民に最も近い位置にある地方自治体の首長として、議論に参加し、積極的に意見・提案していきたいと考えている。

■ 地域主権の推進により、それぞれの地域が自らのまちのあり方について、国と対等の立場で議論し、地域の実情、住民のニーズにあったまちづくりの体制づくりが進むことになるが、それは同時に、自治体には高度な政策形成能力や情報収集力、調整力などが求められるということである。本格的な地域主権時代に備えて、いわゆる“行政のちから”にさらに磨きをかけていきたい。
(6)暴力団対策 〜最も基本的で重要な課題〜
■ 多くの方に“住んでみたい、住み続けたい”と思ってもらえるようなまちを実現するために、子育てや教育、福祉、環境、産業振興など、様々な取組みを進めているが、こうした取組みを一瞬にして台無しにしてしまうのが、発砲事件など暴力団に関する事件である。

■ どんなに暮らしやすいまちでも、1件の暴力団関連事件が、市民や企業から安心を奪う。また、“北九州は危ないまち”という負のイメージをもたらし、どんなに優れた取組みも、人々や企業を引き付ける要因にならない。

■ まさに、暴力団対策は、本市がまちづくりを進める上で、最も基本的で重要な課題であり、その成果がまちの将来を左右すると言っても言い過ぎではない。

■ 昨年本市では、県警、福岡市とともに、中央卸売市場における暴力団員の排除に関する協定を結んだ。また、「堺町安全・安心センター」が開設し、市民と警察、行政との協働による暴追の拠点ができた。そして、今年4月には全国で初めて罰則を盛り込んだ福岡県暴力団排除条例が施行される。
暴力団壊滅に向けた環境は整いつつある。

■ 市民、企業、警察、行政が連携し、暴力団壊滅の機運を盛り上げていきたい。行政として、「暴力団には負けない、暴力は絶対に許さない。」という強い覚悟をもって対策に取り組んでいく。

(7)明るい話題 〜本市初のプロスポーツチームの誕生〜
■ 今年は市民や企業、行政など、市をあげて応援しているニューウェーブ北九州が、「ギラヴァンツ北九州」という新たなチーム名で、いよいよJリーグに参入する。本市を本拠地とする初のプロスポーツチームであり、大いに活躍を期待している。

■ 新潟市には、市民、企業をあげた応援を受け、J2優勝、J1昇格を果たした「アルビレックス新潟」というチームがある。地域のサポートを受けながら躍進を続け、Jリーグの中でも、トップクラスの観客動員を誇っている市民球団である。

 ■ 本市においても、ギラヴァンツ北九州が今以上に市民に愛されるスポーツチームとして成長し、次の目標であるJ1昇格を後押しできるよう、市民、企業が心を一つにして応援できる雰囲気づくりに取り組みたい。
   既にファンクラブに加入したり、何度も観戦したりしている市の職員も多いと思うが、昨年以上に職員も一丸となって(入場料を払って)応援に行こう。


3 職員へのメッセージ
(1)全組織、全職員が一丸となった市政推進を
 ■ 先程述べた「環境」と「アジア」は、50年後、100年後の明るい北九州市につながる重要な成長戦略である。

 ■ この方向性を確固たるものにするためにも、平成22年は大切な1年となる。そのため、全組織、全職員には一丸となって取り組んでいただきたい。

 ■ 「環境」だから環境局の仕事、「アジア」だから国際関係の部局の仕事と考えないでほしい。自分のところなら何ができるのかを考え、行動できる組織風土をつくっていただきたい。幹部職員には特にお願いする。

(2)変化を恐れず挑戦
■ 昨年の衆議院議員総選挙において新政権が誕生した。多くの国民が、飛躍と充実を期待して「変わること」を求めた結果ではないかと感じている。

■ 市民の意識や本市を取り巻く環境は常に動いている。社会経済状況や市民ニーズの変化を敏感にとらえながら、的確に政策を立案・実行していかなければならない。

■ 今後も厳しい財政状況が続くだろう。“今までどおりでいいのか”という危機感を常に意識することが重要である。市民の期待に応えるべく熱意を持って知恵を絞り、変化を恐れず挑戦してほしい。

(3)市民の意見を積極的に聞く
■ 市政運営にあたっては、できる限り多くの市民の声に耳を傾け、これをまちづくりに活かしていくことを基本姿勢としてきた。

 ■ 今後、地域主権が進めば、その地域や住民にとって最適な政策を、地域が自らの責任で立案し、実行するという社会に変わり、これまで以上に市民の意見を聞くということが重要になってくる。

■ 難しい対応を迫られることもあると思うが、市民の声をしっかり受け止め、まちづくりに活かしていくことに努めてほしい。それによって、行政に対する信頼感が高まり、市民との協働も進むものと考えている。

(4)ワーク・ライフ・バランスの推進
 ■ 本市は昨年、「仕事と生活の調和推進宣言都市」に選定された。市民、企業、行政がそれぞれの役割を認識し、働き方や暮らし方を見直す取組みを展開しながらワーク・ライフ・バランスの推進に取り組むことが大切である。

 ■ ワーク・ライフ・バランスの推進は、働く人のためだけの取組みではない。これからの地域主権時代を支える有能な職員の育成・活用が進むとともに、子育てや介護、地域活動などの経験を積んだ多様な職員によって、政策に新たな考え方や視点がもたらされるなど、組織力の強化にもつながるものである。

 ■ ワーク・ライフ・バランスの推進は、コストではなく、投資として積極的にとらえ、市役所が率先して取り組んでいくという意識で臨んでほしい。


V 結びに
厳しい社会経済状況が続いているが、その一方でニューウェーブ北九州のJリーグ昇格をはじめ、
・JR九州の社会人野球日本選手権優勝
・安川電機の九州実業団駅伝での優勝
・北九州市立高校陸上部が女子全国高校駅伝大会に3年連続出場
・九州国際大学付属高校陸上部が全国高校駅伝大会に5年ぶりに出場
      〃    野球部が全国高校野球大会に27年ぶりに出場
など、スポーツに関する明るい話題が相次ぎ、元気をもらった。
“明るさ”はまちの成長を後押ししてくれる。困難な時代ではあるが、志を高く、明るい希望を持ってまちづくりに挑みたい。幹部職員においても、明るさを忘れず、挑戦を恐れない職場づくりに取り組んでほしい。
市職員の健勝と活躍を祈念する。