2012年仕事始めのあいさつ(要旨)

「時代は北九州市に追いついてきた」
陽はまた昇る」
「誇りを持って市民のために」

市職員の皆さん、新年明けましておめでとうございます。旧年中の皆様の活躍に敬意を表します。

 

東日本大震災を踏まえた災害に強いまちづくりの推進

さて、昨年を振り返ると、まず大震災。戦後最大の国難・危機に直面し、国民が心を一つにして東北の支援、復旧・復興に尽力した1年でした。500人超の職員の皆さんが被災地に赴き、各職場では現地に行った職員の分をカバーしていただきました。また、市民の皆様と一緒に絆プロジェクトを立ち上げました。市民各界と暖かいネットワークを作って被災者を迎え入れ、元気になって頑張ってもらうこの事業は、地場企業の持つ技術・商品を東北に提供するという産業界の試みへと発展しました。また、東北の地で市の職員の採用試験も行いました。市民の皆さまと一緒に物心両面で頑張ってきましたが、その暖かい志に感謝します。

この機会に、改めて防災の大切さを痛感しました。日経新聞が「日経グローカル」で河川・上下水道の整備や耐震化などの防災力を調査し、本市が東京の渋谷区に続いて総合評価2位となったと発表しました。しかし、市民の皆さまの中には、想定外の災害時でも家族や財産を守ってほしいという強い気持ちがあることを改めて認識しなければなりません。本市はすでに地域防災計画の見直しを検討会で行っています。その会には女性の委員が半数近く入っており、要支援者やハンディのある人などの視点にも立った防災対策もあわせて検討しています。

 

防犯・暴力追放に向けた取り組みを強化

2番目に、防犯、暴力追放の重要性を再認識しました。非行少年や罪を犯しても償い、立ち直ろうとする人を暖かく見守り、更生を支援している市民の皆さんを忘れてはなりません。しかし、銃器犯罪により市民の方が命を落とすという大変残念な事件がありました。市民の皆さまは、一日も早い犯人の検挙を求めており、本市は福岡県、県の公安委員会、福岡市と一緒に暴対法の改正も政府に要望しています。一発の銃声が、どれだけ観光客の足を止めたか、どれだけ企業の新たな投資や誘致を妨げたか分かりません。これらを思い、防犯、安全・安心のために引き続き頑張らねばなりません。県警察・行政・事業者・市民一体となって安全・安心の運動を進めていますが、今年も努力を重ねます。

 

高齢者など地域における支え合いの強化・充実

3番目に、高齢者などの地域での支え合いの強化です。本市は政令市で一番早く高齢化が進み、高齢者の中で1人暮らしの方が3割を占めるに至りました。過去、孤独死の問題が全国で話題になり、その克服の努力の一つが「いのちをつなぐネットワーク事業」です。これは、申請主義から出前主義への転換という市役所の新しい活動形態として注目され、政府から日本で始めての取り組みなので頑張ってほしいと激励され、始まった事業です。この3年間で多くの市民から行政に相談しやすくなった、信頼が増したなど、うれしい話も届いています。この成果をどう前進させるかが今年の課題です。後に述べる環境未来都市に低炭素・省エネ・環境のまちづくりに加えて高齢者対策を主なコンセプトとして盛り込んでいます。高齢者の見守りなどは、防犯・防災の面からも重要な政策路線です。

 

厳しい経済環境での着実な成果

昨年は大変厳しい経済環境でした。しかし、産業界とはお互いに協力しあい、汗をかき、頑張ってきました。平成20年度から産業・雇用施策を進めています。新規の投資が約2000億円強。加えて、LNG基地など大型投資も続きます。新規雇用は5000人。低炭素のまちということで、北九州市で創業を開始した将来性のある企業もあります。また、緊急経済雇用対策本部を設置し、政府の対策の一挙手一投足を見守りながら毎年補正予算を出してきました。企業を訪問して一人でも多くの新卒者採用を依頼する「ローラー作戦」も行いました。しかし、東芝のように厳しい方向性を出す企業もあります。県と一体になって再考を求めていますが、特区と環境未来都市の認定により、ビジネスチャンスは広がると信じております。厳しい経済環境を乗り越えるために、今年も頑張らなければなりません。

 

「北九州市環境未来都市」「グリーンアジア国際戦略総合特区」とのダブル認定

昨年は緑の成長戦略に基づいた政策が着実に前進しました。その一つが、政府が昨年の夏に募集して十数人の学者がそれぞれ採点をし、政府が決定した特区と未来都市です。環境の面でダブルの認定を受けているのは、本市のみです。また、政府から聞いたところでは、13人の学者が選定したい都市には○、選定したくないものに×をつけて採点して、4つ、5つ○がつくと選定されたそうですが、本市の環境未来都市のコンセプトは12の○がついた。つまり、トップランナーとしての期待をうけて選定をされています。それだけに、背負うものもまた、大変重いものです。しかし、この特区、環境未来都市には特別の財政支援などが含まれています。選定を受けたことがゴールではありません。その制度をうまく活用して、内外に発信できる成功モデルを本市に築き上げたいと決意しています。

 

時代がようやく北九州市に追いついてきた

海外水ビジネスが内外から注目される1年でもありました。カンボジアの首都プノンペンとシェムリアップにおける水道の建設のコンサルタント、技術指導が高く評価され、カンボジアのほぼ全土、9つの都市で水道事業を整備するコンサルティングの契約をしました。シェムリアップは、アンコールワットのあるところです。そこで、水道が飲めるように一生懸命頑張っていたのは本市の職員でした。1998年といえば、大変な政争、混乱の中、国連の中でも日本政府がカンボジアの復興のために手を差し伸べていた時です。その時に、私たちの先輩職員は、地雷などのリスクを覚悟してあの地に赴き、成果を上げました。このすばらしい国際貢献、志の高さに、改めて心から敬意を表したいと思います。時代がようやく北九州市に追いついてきた、そのことをカンボジア政府との調印の時に感じました。皆さまがこれまで、世のため人のため、世界の発展のために、市の持っている技術や人材の力、情報などを惜しみなく海外の発展のために貢献してきた、その一つが海外水ビジネスとなってこれからのチャンスを広げていると思います。関係部局合わせて全力を挙げて、このチャンスをつかみたいと考えています。

 

さらに前進する環境への取り組み

スマートコミュニティという言葉は、まだ一般的ではありませんが、世界の投資や技術の動きを見ると、低炭素を軸に動き始めた感があります。その時、スマートグリッドの技術がないと、さらなる低炭素社会の高度化はできません。世界の経済社会がより環境に優しくなるために必要なのが、この賢い送電網を築くスマートグリッドの技術です。北九州市のスマートコミュニティは、世界の中で最も期待されている1つだと、信じております。
 アジア低炭素化センターをスタートして2年になりますが、いくつか成果を挙げています。その中で注目したいのは、中国の北京環境交易所との契約です。環境交易所とは低炭素や公害防止などを扱う外郭団体で、中国での低炭素などに関する情報が最も集積しているところの一つです。数ある環境機関の中で北京環境交易所と交流協定を結んだのは、本市が初めてとなります。

北九州市は新エネルギーでも頑張ってきました。世界中が期待している自然再生エネルギーや新エネルギーのほとんどが北九州で着実に研究成果をあげています。また、響灘辺りには今年の夏、日本最大級のビオトープが正式オープンします。日本で最初にスタートして世界最大の成果を持つエコタウンの横にビオトープが生まれ、そこには新エネルギー研究の拠点成果がある。ここだけでも世界中に注目される地域として発展していくと期待しています。 

その他にも明るいニュースがあります。大学の地域貢献度ランキングで北九州市立大学は全国総合1位を獲得しました。アジア女性交流研究フォーラムは韓国・仁川の研究院と交流協定を結びました。また、北九州港は日本海側拠点港に下関と一緒に選ばれるなど、着実に成果をあげています。
 その一つの集大成がOECDから世界で四つのグリーン成長モデル都市に選ばれたことです。OECDは世界34の先進国クラブです。そこに北九州市が登場しているのは1985年のレポートで「グレイシティからグリーンシティへの変貌」というタイトルで1ページ弱紹介されています。今後、OECDから提出されるレポートには4分の1のページが割かれると思います。パリ・シカゴ・ストックホルムそして、アジアで唯一、北九州市です。これまで頑張ってきた成果、そしてこれから未来に向かって飛躍前進しようとするプログラムやその方向性を発信するチャンスです。世界に本市の成功モデルを知ってもらえるように今年も励みましょう。

 

平成24年を迎えて

数多くのにぎわいのチャンス到来

にぎわいの創出の面で、今年は北九州市始まって以来の最大級のイベントが連続します。約50万人が訪れるとされるB1グランプリや、日本青年会議所の全国会員大会、また、全国商工会議所女性会連合会の全国大会も開かれます。誘致に多くの市民の皆さまが尽力し、関係部署が全力でサポートしてきた成果だと思います。北九州の魅力を知ってもらい、素晴らしいまちということを発信ことは、北九州の将来にかかわる一大シティプロモーションだと思います。また、黒崎・小倉地区の中心市街地の活性化も期限は一年余です。全力で成果をあげたいと思います。

 シティプロモーションを考えるときに一つの可能性があります。それは、九州・山口にわたる近代化産業遺産は実に素晴らしいとして、世界遺産に暫定登録されていることです。稼動中の工場も含まれますので、関係企業の理解をいただけるような制度改正をふまえ、世界遺産登録に向けた取り組みを進めたいと思います。

 次にギラヴァンツ北九州です。私の公約にも、二度は立ち止まって市民・議会の意見を良く聞き、慎重に進めるとあります。その1回目のハードルがこのたびの公共事業評価委員会のご指摘です。この指摘を正面から真剣に受けとめて、外部機関で詳細を試算していただき、その上で議論します。このように、一つ一つ丁寧に市民や各界のご意見を聞いて進めたいと考えています。
 ギラヴァンツ北九州は、北九州市に初めて生まれたプロスポーツチームであり、昨年の活躍は目を見張るものがあります。老若男女がシンボルチームを応援することで、熱い気持ちで市民の一体性を高めていく。そのために私たちは、新球技場の提案をしています。

 

子育て支援と教育環境を整備

 北九州には、スクールヘルパーというボランティアが数千人規模で子どもや孫たちの世代のために学校を見守っているという、全国的に見て素晴らしい活動があります。この制度に着目して地域全体で学校を守り、サポートしていくというプログラムを環境未来都市に載せました。
 もう一つ、昨年は大変注目される
提案が経済界、北九州活性化協議会からありました。それは発想を転換し、子どもたちに親が関わるように、産業界としても心掛けるというものです。地元の経済界には小学校の応援団が作られました。今後はいろいろなプログラムが始まると思います。仕事いちずから、子どもたちや家族のためにもと、経済界がかじを切ったことは大変注目されると思います。地元産業界の後押しをいただいて子育て支援についても成功モデルを築かねばなりません。

 

職員の皆さんへ

高い志を持つ

皆さんは高い志を持って公務員になったと思います。時代は乾いていて風は冷たく、時に逆風です。だからこそ、高い志を持った皆さまの活躍が注目され、市民の皆さまも期待されると思います。引き続き高い志を持ち、頑張りましょう。

 

市民サービスの向上に努める

2番目に、市民サービスです。私は、市民に対して丁寧に親切に対応したかをいつも自分に問うようにしています。私たちは丁寧に親切に、熱意を持って市民サービスをすることが本分です。そのためには業務の効率化も必要です。行財政改革の有識者会議を作りました。市民の目線に立ちサービスを高めていくために、私達自身が時代の要請に沿ってそれを見直す。その意味で、ご協力いただきたいと思います。区役所のワンストップサービスが昨年から始まり、良くなったという評価をいただいています。いろんな知恵をだしてサービス向上に努めましょう。

 

常に防災の視点を持つ

3番目に、常に防災の視点を大切にしたいと思います。何かあったときに私達は何をすべきかをよく考える。その思いで市民と接する時、まち全体にその気運が高まっていくと思います。

 

ワーク・ライフ・バランスの推進

 4番目にワーク・ライフ・バランスです。まだまだ普及しなければなりません。女性の皆さんの活躍推進本部を立ち上げました。成果として最低レベルだった女性の活躍状況が少しずつ改善されています。幹部職員も男女平等やワーク・ライフ・バランスの視点からも、女性のみなさんにチャンスを作るという意識に変わってきていると思います。政令市で最も高く評価されるような職場風土作りに励みたいと思います。

 

自治会活動などへの積極的な参加

 5番目に市民との協働、地域活動への積極的な参加です。私達は高齢者の見回りや子育て支援、防災、防犯などいろいろな場所で市民の皆さまと協働しています。その中には民生委員や、自治会、社会福祉協議会、地域のボランティアなど様々な方がいらっしゃいます。その皆さまとの信頼関係なしに成果はあがりません。私は常に皆さんに、地域のいろいろな活動にできる限り目を向けてください、参加してくださいと言ってきました。自治会には皆さん入っていますね。地域に私達自身がもっと飛び込んでいかねばなりません。信頼関係を作るために、自治会活動はもとより、障害者福祉や青少年健全育成などいろいろな地域貢献活動も大事です。
 今年は職員の地域貢献を新たに表彰したいと考えています。地域の中にもっと溶け込むよう共に努力しましょう。

 

エコに取り組む

 6番目は職場でのエコの取り組みです。クールビスに続いてウオームビスです。すでに環境モデル都市としてエコの取り組みを進めていますが、環境の面で特区と未来都市に選定されたのはここだけだということを忘れないでください。私達はエコのあらゆる面で模範であり、トップランナーであることを意識して頑張らねばなりません。

 

健康づくりに取り組む

7番目は健康づくりです。北九州市職員チームは、軟式野球大会の決勝戦に進出しました。野球に限らずいろいろなクラブ活動があります。良い仕事をするには健康が大切です。環境未来都市の中でも、子ども達がドングリの実を拾い、高齢者の皆さんが苗木に育て、それを地域全体で植樹するという活動のイメージを提案しました。いろいろな活動の場を提供して良い汗をみんなでかくということです。それが健康づくりの原点だと思います。皆さんも一緒に、楽しく体力づくりの努力をしていきましょう。

 

綱紀の粛正

8番目は綱紀の粛正です。皆さんは諸先輩から成果を受け継ぎ、着実に前進してきたと思います。しかし、ほんの一握りの人の不祥事で台無しになります。そのことは皆さんが一番辛く思っていると思います。綱紀の粛正、公務員としての原点をしっかりと見つめ直し、頑張っていくと決意しましょう。

 

誇りを持って市民のために

 結びに、市制50周年が近づいてきました。私は、今年1年は「陽はまた昇る」年となる事を強く感じております。風は冷たく、世界に吹く風も逆風です。しかし、これまでの成果に時代が追いつき、それを再評価しました。そして成功モデルとして期待される大きなプログラムを手にしました。北九州市民のために、そしてその成果は必ず日本全体の再生につながるという誇りを持って今年一年共に頑張りたいと思います。