平成22年2月北九州市議会定例会
市 長 提 案 理 由 説 明
昨年は、本市の新たなまちづくりの指針である基本構想・基本計画「『元気発進!北九州』プラン」に基づくまちづくりをスタートさせた年でした。
子育て・教育日本一を実感できる環境づくりなどを進める「人づくり」や、保健・医療・福祉の充実、文化・スポーツの振興などを進める「暮らしづくり」、さらには、産業の振興や雇用の創出などを図る「産業づくり」、都市基盤の充実を図る「都市づくり」といった4つの基本方針に基づく取組みをバランスよく進めることができました。
今年は、「『元気発進!北九州』プラン」も2年目を迎えます。
昨年までの取組みを着実に推進するとともに、新たな取組みにも挑戦しながら、「人と文化を育み、世界につながる、環境と技術のまち」の実現に向け、さらに大きな一歩を踏み出します。
そのためには、市民の思いを十分に把握することが第一であると考えています。
私は、市長就任以来、「市長への手紙」やタウンミーティングなどを通じて、多くの市民の皆さんの声に耳を傾けてきました。
そして、厳しい財政状況の中でも、可能な限り、市民の意見を政策に反映できるよう努めてまいりました。子どもたちは本市の将来を担う宝であるという考えのもと、子育て支援、教育環境の充実に取り組んでおりますが、人口減少社会の到来や、厳しい経済状況にある中で、多くの市民は「子育て」、「子どもの教育」に不安を抱いており、「子どもを安心して生み育てることができる環境づくり」、「子どもが健やかに成長できる環境づくり」に対する市民のニーズは依然として、高いものがあります。
また、昨年、急速な拡大を見せた新型インフルエンザは、減少傾向にあるものの、今もなお流行は終息しておらず、7月に発生した中国・九州北部豪雨は、市民生活に大きな被害をもたらしました。
まさに、未知の感染症や自然災害の脅威を実感させられ、そうした不測の事態への備えや対策の重要性を再認識したところです。
加えて、市民が安全で、安心して暮らせるまちの実現にあたっては、暴力団対策も重要な課題です。暴力団に絡む事件は市民の生活だけでなく、まちのイメージにも大きな影響を及ぼす問題であり、暴力団排除に向け、市民、企業、警察、行政が連携し、「暴力団には負けない、暴力は絶対に許さない」という強い覚悟をもって取り組むことが必要です。
さらに、一昨年から続く経済状況の悪化を背景に、市民や企業経営者は、雇用や経営への不安を抱えながら、日々暮らしています。
まずは、このような現状をしっかり認識し、市民の生活を守ることに全力で取り組んでいきたいと考えています。
一方、本市を取り巻く国内外の状況に目を向けると、環境問題への対応が、今や地球全体の課題として世界に浸透し、その重要性が高まっています。
とりわけアジアでは、急速な経済成長を遂げたものの、かつて我が国が経験したように、公害問題に直面している国もあります。
本市は、これまでも、こうした国々を支援しようと、環境保全や廃棄物管理、エコタウン事業などの経験を活かして、現地の市民と一緒になって、大気汚染や廃棄物減量化などの協力をしながら、環境国際協力を進めてきました。
さらには、本市の高い技術力を活かし、上下水道や消防といった分野における貢献なども通じて、アジア諸都市とのネットワークを構築してきました。
そして、今、アジアの国々は、低炭素化という地球環境を守るための新たな取組みを始めつつあります。
まさに、本市は、これまでに培ってきた経験とネットワークをもとに、アジア全体の低炭素化を進めることができる都市ではないかと考えています。
こうした考えのもと、「環境」と「アジア」に視点を置いた取組みを戦略的に進め、国内外に対し、その存在感を高めるとともに、成長著しいアジアの活力を取り込みながら、さらなる飛躍を目指します。
このような本市の未来をひらく取組みは、地域経済の活力を高めるだけでなく、その成果は市民生活の質を高めることにもつながります。
厳しい経済財政状況が続きますが、この難局から脱却するには、現状に危機感を抱くだけではなく、これまで幾多の困難を乗り越えてきたこのまちの力と知恵を信じ、新たな成長への道を確立することが必要です。
そして、その先には、必ずや明るい未来がひらかれるという強い信念を持ってまちづくりに挑む決意であります。
以上の点を踏まえ、平成22年度当初予算は、財政再建を着実に進める一方、市民生活を守り、本市の成長戦略を盛り込んだ予算として『市民の生活を守り、未来をひらく成長戦略予算』と名づけ、3つの柱からなる予算を編成しました。
1つ目の柱は、『市民の生活を守る』であります。
依然として厳しい地域経済や雇用情勢に対応するため、引き続き経済・雇用対策を実施するとともに、水害・震災対策、暴力追放やモラル・マナーアップ対策など市民生活の安全・安心対策に取り組みます。
2つ目の柱は、『未来をひらく』であります。
環境モデル都市である本市の有する公害克服の経験や環境技術の蓄積、さらには、アジア諸国にも地理的に近いという優位性を最大限に活かし、「環境」と「アジア」をキーワードに、戦略的に各種事業に取り組み、本市の成長につなげていきます。また、まちのにぎわいを創出するとともに、本市の将来を担う子どもたちのため子育て支援、教育環境の充実を図ります。
3つ目の柱は、『持続可能な財政を確立する』であります。
都市の発展には安定した財政の確立が不可欠であります。
平成22年度は、「北九州市経営プラン」における集中取組期間の最終年度であることを踏まえ、平成21年度に引き続き、100億円規模の収支改善に取り組みます。
これによって、単年度収支の均衡を図り、持続可能で安定した財政の確立に道筋をつけていきます。
以上が3つの柱です。
平成22年度当初予算は、現下の厳しい経済財政状況を、むしろこれからの本市発展のチャンスととらえ、財政規律を維持しながら全力で取り組む成長戦略予算であります。
議員各位の格別のご理解とご協力をお願いいたします。
それでは、まず、予算議案からご説明いたします。
今回提出いたしました平成22年度当初予算の規模は
一般会計 5,328億7,500万円
普通特別会計 4,882億2,500万円
企業会計 1,162億 700万円
計 1兆1,373億 700万円
であります。
前年度の当初予算と比較して、一般会計で3.0%の増、普通特別会計で10.2%の減、企業会計で7.9%の減、総額で4.2%の減となっております。
以下、平成22年度当初予算の3つの柱と6つの項目に整理して、主要事業のあらましをご説明いたします。
まず、1つ目の柱である『市民の生活を守る』のうち第1の項目、「緊急経済・雇用対策」であります。
厳しい経済・雇用情勢を踏まえ、国の公共事業の減少分を市単独事業の上積みによってカバーし、投資的経費全体の事業量を確保するとともに、地元中小企業の受注しやすい市民生活密着型公共事業への重点化を図ります。
また、中小企業の資金繰りに万全を期すため、十分な融資枠を確保するとともに、「緊急経営安定資金」の限度額の引上げ及び期間の延長など制度を拡充します。
さらに、大都市圏での商談会を開催するなど中小企業の販路拡大を支援します。
雇用対策として、知恵と工夫を凝らした新規事業等を行う事業者に対して、新たな正規雇用人数に応じた補助金を交付し、雇用創出を図ります。
また、失業者や求職者等の雇用機会を創出するとともに、ひとり親家庭等の在宅就業の拡大に向けた環境整備を図ります。
さらに、生活保護行政については、経済・雇用情勢の悪化により、保護受給者が急増する中、就労支援の取組みを強化するなど、適正な保護の実施に努めます。
第2の項目、「水害や震災対策、暴力追放、モラル・マナーアップなど市民生活の安全・安心対策」であります。
水害や震災などの災害対策として、河川や下水道の緊急整備を行い、市有建築物や学校施設の耐震化に取り組みます。
その他の安全・安心対策として、市民センターやスポーツ施設などに、自動体外式除細動器じょさいどうき・AEDエーイーディーを設置します。
快適な生活環境を確保するため、小倉都心地区に続き、黒崎副都心地区を迷惑行為防止重点地区に指定し、モラル・マナーアップを進めます。
市民生活や行政からの暴力団排除に向け、民事暴力相談センターの強化や、条例の制定などに取り組みます。
また、「おでかけ交通」事業において、継続的な運行の確保や新たな地区への導入を支援します。
さらに、去る10日の「北九州市非核平和都市宣言」に基づき、宣言記念碑を設置するなど、平和の尊さを伝える取組みを推進します。
高齢者や障害者施策として、一人暮らし高齢者等の、緊急連絡先やかかりつけ医等の情報を万一のときに駆けつけた人が活用できる仕組みを構築します。
老朽化に伴い「小池学園成人部」の移転改築工事に着手します。
発達障害のある人やその家族の相談窓口となる、「発達障害者支援センター」の西部分所を設置し、発達障害者支援の充実を図ります。
次に、2つ目の柱である『未来をひらく』のうち第1の項目、「地球温暖化対策や先進技術などを活かした産業の活性化」についてであります。
八幡東区の東田地区において、最先端技術であるスマートグリッドの構築を促進し、CO2の削減と地域産業の振興につなげます。
「北九州グリーンフロンティアプラン」のリーディングプロジェクト実施地域において、民間事業者による環境配慮型施設の整備に対して支援を行うなど、低炭素化社会の「見える化」「感じる化」を推進します。
温室効果ガス削減に貢献する技術開発や製品製造に取り組む企業の集積促進のため、「環境・エネルギー技術革新企業集積特別助成金」制度を創設します。
環境モデル都市の取組みを技術や産業面で推進するため、産学官の連携による「(仮称)先導的低炭素化技術研究推進戦略会議」を新たに設置し、技術開発プロジェクトを推進します。
市役所が次世代自動車を率先して導入することにより、市民の認知度向上、需要の喚起を図るとともに、電気自動車の活用環境の向上のため、急速充電設備の整備を行います。
さらに、市内に多数ある環境学習施設で、市民が低炭素社会づくりの知識を総合的に学べるような環境学習システムを構築します。
小倉都心地区ほかで、太陽光発電設備の導入など環境モデル都市のシンボルとなる施設を整備し、低炭素型の街づくりを進めます。
第2の項目、
「アジアのゲートウェイ機能を活かした国際戦略」についてであります。
“アジアの低炭素革命”の拠点を目指して、「(仮称)アジア低炭素化センター」を開設します。
東アジア地域との経済連携・技術交流の推進に向け、「環黄海経済・技術交流会議」をはじめとする4つの大規模国際会議を同時開催します。
成長著しいアジアの活力を取り込むため、中国を中心に本市の地域資源を活かしたプロモーション等を実施します。
また、「(仮称)日中韓東アジア文学フォーラムin北九州」の開催など東アジアとの文化交流を深める取組みを積極的に進めます。
さらに、北九州空港へ航空貨物の集積を図るとともに、貨物専用便の誘致に取り組みます。
第3の項目、「まちに活力を吹き込むにぎわいづくりの推進」についてであります。
小倉地区では、芸術文化振興の拠点として、九州厚生年金会館のホールを改修し、リニューアルオープンします。
また、漫画文化の拠点として、「(仮称)北九州市漫画ミュージアム」の開設に向けた
準備を進めます。
黒崎副都心「文化・交流拠点地区」では、平成24年夏のオープンを目指し、PFI事業による図書館、ホール、広場などの施設整備に着手します。
門司港レトロ地区では、歴史的建造物である旧JR九州本社ビル、旧三宜楼さんきろうを魅力ある観光施設として整備を行い、さらなるにぎわいづくりを創出します。
また、文化を育む観点から、火野ひの葦あし平へいの没後50年を契機に、記念事業を実施します。
さらに、市内の近代化遺産の価値を市民と共有するため、広報活動を実施するとともに、世界遺産の候補資産等を活用したまちづくりを推進します。
第4の項目、「次世代を担う人材の育成」についてであります。
「元気発進!子どもプラン」に基づき、市民に子育て日本一を実感してもらえるまちを目指します。
子育て支援の推進として、次世代の社会を担う子どもの育ちを社会全体で支援するため、子ども手当を支給します。
また、現行小学校3年生までとなっている入院医療費の自己負担額の助成を平成22年10月からは小学校6年生まで拡大します。
わいわい子育て相談の充実を図るとともに、直営保育所に親子通園クラスを設置し、保育所での遊びや相談等の支援を行います。
保育所が不足する地域に民間保育所を設置するなど、保育所の適正配置を行います。
放課後児童対策では、放課後児童クラブに希望するすべての児童を受け入れられるよう、施設整備とクラブ運営の充実を推進します。
未来を担う子どもたちの教育の充実として、私立幼稚園における子育て支援機能の充実を促進するための助成を拡充します。
「北九州市子どもの未来をひらく教育プラン」における学校・家庭・地域を挙げた重点取組みを推進するとともに、新教育プランに沿った各学校の独自の取組みに対し、支援を行います。
子どもの読書活動を推進するため、学校図書館嘱託職員の配置や親子で読書に親しむ家読うちどくの推進、「北九州市子ども読書活動推進計画」の次期計画策定などを行います。
食育推進の観点から、中学校完全給食の全校実施に向け、施設整備等を行います。
さらに、特別支援教育の充実を図るため、特別支援学級に市費講師を配置します。
多様な地域主体との協働によるまちづくりを進めるため、NPOなど新しい公共の担い手や協働推進に必要な人材の育成に取り組みます。
また、地域のまちづくり活動を牽引する人材の育成を図るとともに、コミュニティを重視した新たな魅力づくりなど、人にやさしいまちづくりに取り組みます。
以上が主要事業のあらましです。
次に歳入について、ご説明いたします。
一般会計の財源といたしましては、
市税 1,585億2,440万円
地方交付税 620億円
使用料及び手数料 159億8,423万円
国県支出金 1,004億6,227万円
市債 538億4,940万円
諸収入その他 1,420億5,470万円
を見込んでおります。
市税収入は、
景気低迷の影響による個人市民税の減収や、企業収益の悪化による法人市民税の大幅な減収などから、前年度当初予算より2.3%の減となっております。
また、地方交付税、国県支出金については、地方財政計画、国の予算措置その他の動向を勘案し、さらに、使用料及び手数料、諸収入その他については、それぞれの実績などを基礎に収入見込額を計上しております。
市債については、各種施策を計画的に推進するための見込額を計上しております。
(以下略)