平成31年仕事始め式 市長挨拶骨子

Ⅰ 平成30年を振り返って

まず、昨年7月、50年に1度と言われる豪雨により、市内全域で甚大な被害が発生した。2名の尊い命が失われ、多数の方が被害にあわれたことは大変痛ましく、昨年を振り返る上でまず頭に浮かぶ出来事である。改めて、犠牲になられた方のご冥福をお祈り申し上げる。そして被災された皆様にお見舞いを申し上げる。

一方で、避難所の運営や被災者支援など、24時間体制で防災に携わった職員に感謝する。今回の経験から、様々な教訓も得られたことと思う。「市民の命と暮らしを守る」という私たちの使命を今一度胸に刻み、今後も緊張感を持って防災対策を継続していきたい。

さて、改めて平成30年を振り返ると、様々な分野で明るい話題に恵まれた年だった。まず、若戸大橋・若戸トンネルの無料化の実現である。人や物の流れが活性化し、産業や観光、そして市民生活に大きな影響をもたらすものと期待している。また、長崎市、札幌市と並んで、日本新三大夜景都市へ選定されるという嬉しいニュースもあった。

産業の面では、若い世代の就職先として希望が多い情報・通信系の企業進出が相次いだ。アジアへの水ビジネスの展開では、ベトナム・ハイフォン市で大型浄水場整備事業の受注が決定した。これまでの取組みが実を結び、新成長戦略に弾みがつくものと嬉しく思う。

市民生活の面では、暮らしを支える拠点施設が開所した。八幡病院、総合療育センター、小倉南図書館、子ども図書館など、いずれも待ち望まれていたものである。利用者に満足いただけるよう、しっかりとした運営を心がけていきたい。

さらに、SDGs未来都市、東アジア文化都市への選定である。本市の都市ブランド向上の大きな推進力となるものである。これらを踏まえ、昨年を表す一字は「曙(あけぼの)」とした。新たな展開へつながる明るい兆しを感じることが多い一年であった。

職員の皆さんの一年間の奮闘に改めて感謝申し上げる。

Ⅱ 平成31年を迎えて

総論 地方創生を進め、社会動態プラスの達成を

今年の抱負は地方創生のさらなる前進である。平成27年度から進めてきた取組みにより、

  • 外国人観光客が過去最高
  • 北九州空港の利用者数も過去最高
  • また、商業地に続き住宅地の地価も上昇に転じる
  • そして、地元就職を選ぶ市内大学生の数が増加する

など、好循環の兆しが生じている。

この流れは人口動態にも好影響を与えている。本市は、昭和40年代から一貫して市外への転出超過が続いてきた。昭和40年代には年間1万人以上マイナスの年もあり、私が市長に就任した平成10年代後半でも3,000人程度のマイナスであった。
それが、平成30年は、11月末時点でマイナス600人程度まで改善。特に15歳から39歳までの若い世代を見ると、プラスに転じている。オール北九州での取組みの効果が着実に現れてきている。

さらに、SDGs未来都市、2020年東アジア文化都市、ロボット分野での産学官連携モデル事業の採択など、一層の浮揚のきっかけをつかむことができた。
今年は、これまでの取組みの継続に加え、これらの新たなビジョンを推進することで、本市の長年の課題であった社会動態をプラスに転じ、地方創生のモデル都市の実現に向けて力強く歩みを進める一年となればと考える。

それでは、各分野における今年の展望を述べたい。

1 成長戦略で元気なまちへ

まず、経済を元気にし、雇用の場を増やすことが地方創生の鍵である。重要なポイントを3つ述べたい。

一つ目は洋上風力発電である。国会で洋上風力発電の整備を促進する法律が成立し、日本全国で風車の設置が進む環境が整ってきた。このチャンスを捉え、全国に先駆けて進めてきた響灘での洋上風力発電の事業を、日本一の拠点に導きたい。本市の新たな産業の核になるものと期待している。

二つ目は、ロボットである。本市は既に、国家戦略特区に選ばれ、介護ロボットを活用した先進的介護の実現に挑戦している。それに加え、昨年、産学官連携の新たな国の交付金事業に、ロボット分野で本市が唯一採択された。ロボットの最先端の研究開発と中小企業へのロボット普及のモデル都市への挑戦がスタートしている。

三つ目は、空港である。韓国、台湾などへの新規路線の就航が相次ぎ、北九州空港の利用者数は年間160万人を超えるまで増加した。また、貨物専用の国際便も新たに就航し、物流の面でも拠点化が進んでいる。この流れを途切れさせることなく、福岡県との連携の元、空港をさらに活性化させることで、新たなステージへの発展を目指したい。

2 SDGsの推進で、誰もが安心して暮らせるまちへ

次にSDGsである。SDGsは環境分野に留まらず、経済や社会といった広い分野を統合した国際目標である。17のゴールには、働きがいと経済成長、質の高い教育、医療・福祉の充実、貧困対策、ジェンダーの平等など、市民生活に直接関係する項目が含まれている。

このようにSDGsは、暮らしの質の向上をもたらし、都市の魅力を高めるという点で、地方創生の実現にも資するものである。自治体のトップランナーとしてSDGsを推進し、誰もが安心して暮らせるまちづくりを進めていきたい。ぜひ、担当している業務がSDGsのどのゴールに寄与するのか考え、全ての職場でSDGsの達成に向けて取り組んでいただきたい。

また、持続可能な社会を引き継ぐという観点からは、次世代を担う子どもたちへの啓発が大切である。教育委員会とも連携し、様々な機会をとらえ、SDGsの理念やその取組みを伝える努力をしたい。

3 アジアに開かれたにぎわい溢れる創造都市へ

次に、まちの魅力とにぎわいについてである。本市は昨年、文化芸術部門で文化庁官表彰を受賞した。「映画の街」「文学の街」「多様な文化遺産の保存・活用」を始め、本市の文化面での高いポテンシャルと先進的取組みが評価されたものである。
これらの地域資源を最大限活かし、2020年「東アジア文化都市」を成功に導くことで、文化芸術の力でまちの魅力や活力を生み出す「創造都市・北九州」の実現に弾みをつけたいと考えている。

また、2020年は東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催の年であり、海外から多くのお客様が訪れることになる。その時、本市がアピールできる魅力の一つは「寿司」である。本市には全国に認められた寿司の名店が何店舗もある。また、家計調査によると、家庭での刺身の消費量は全国でも有数である。「寿司が美味しい、魚が美味しい、そして安価で楽しめる」、このことを都市の魅力として発信する工夫をしていきたい。

さらに、八幡東区東田地区では、アートクラスター事業(ミュージアムパーク創造事業)が文化庁に採択されており、スペースワールド跡地活用の進展とあわせて、地域の魅力を高めていきたい。また、小倉駅前の再開発ビルが5月に竣工予定であり、(コレット跡地への商業施設の入居とあわせ)小倉のにぎわいが増すものと期待している。

今年春には、小倉城と門司港駅という観光の拠点となる施設がリニューアルを迎える。スポーツの面では、女子テニスの国別対抗戦「フェドカップ」やラグビーワールドカップ事前キャンプのウェールズ代表との交流プログラムなど様々なイベントの開催も予定されている。これらを契機に、アジアに開かれたにぎわい溢れる創造都市への歩みを進めていきたい。

4 行財政改革の推進を

最後に、本市の未来を切り拓くためのこれらの事業は、安定した財政があってこそ、積極的に展開できるものである。これまでも職員には、行財政改革のあらゆる努力をお願いしてきたところである。今後も、例えば、民間へのアウトソーシングやICT、AIの業務改善への活用など、様々な知恵や工夫をこらして、さらなる努力をお願いしたい。

また、行財政改革の一つの柱である公共施設マネジメントも各地域で進んでいる。真に必要な公共施設を将来にわたって持続的に維持するために必要とされる取組みである。市民に新たな負担や協力をお願いする場面も出てくるかと思うので、ぜひこの公共施設マネジメントの趣旨を含め、それぞれの取組みについて市民に丁寧に説明するよう心がけていただきたい。

Ⅲ 職員へのメッセージ

1 ワーク・ライフ・バランスの一層の推進を

さて、今世の中では「働き方改革」という言葉がよく聞かれる。本市は、国や他の自治体に先駆けて10年前から、女性職員の活躍とワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んできた。本日お集まりの管理職の皆さんは全員がイクボスとして、各職場でリーダーシップを発揮していただいていることと思う。

その成果の一端として、男性職員の育児休業取得率は国の目標を上回る14.8%となった。「職員相互にサポートする体制がとれるようになった」「コミュニケーションが活発となった」など、職場の雰囲気の改善につながったとの声がある。

このような女性職員の活躍やワーク・ライフ・バランスを一層推進するとともに、育児や介護など多様な背景を持つ全ての職員が、いきいきと働ける職場を目指し、市役所全体で取り組んでいきたい。

2 不祥事・事務処理ミスをなくそう

もう一点は、残念ながら昨年も不祥事や事務処理ミスが発生してしまった。不祥事が起こると、これまで積み上げてきた市民との信頼関係が一瞬で失われてしまう。そして、本人や家族にも不利益しか生じない。ぜひ、不祥事の防止、また事務処理ミスをなくす方法について、各職場で改めて話し合ってほしい。

≪具体的な事例≫

  • 教育委員会課長 飲酒事故
  • 外国人障害者給付金 過大支給 計900万円
  • 教職員のPTA預金着服 ほか

Ⅳ むすび

本市の長所をいかして「住みよいまち・北九州市」を
さらに前進させる一年へ

結びに、日本全国の中で比べてみたときに、本市の魅力とは何か、改めて考えてみたいと思う。様々な魅力があり、絞り込むのは難しいが、ひとつ言えるのは「住みよさ」ということである。

ものづくりのまち、勤労者のまちとして発展してきた歴史に育まれた実直な市民性、公害を克服し環境のまちへと転換した原動力である市民力、そして豊かな自然と都会の利便性の調和、充実した子育て・教育環境など、日々の豊かな暮らしを支える環境は、他のどの都市と比べても引けを取らない。

長年の課題であった安全・安心の面でも、市民意識調査で、4年連続で1位の評価を受けるなど、市民の実感は飛躍的に改善している。今こそ、負のイメージを払しょくし、本市のこの「住みよさ」を全国に発信するチャンスである。

今年は平成に次ぐ新たな時代が始まる年である。我が国は、人口減少や少子高齢化、労働者不足といった全国共通の課題に直面している。また、外国人人材受入れの拡充、AIやICT技術の発達による社会や雇用環境の変化など、自治体を取り巻く環境も大きく変化している。

私たち自治体の知恵と手腕が問われる時代でもある。ぜひ、本市の強みや長所をさらにいかし、若い世代を始め多くの人が住みたいと思う「日本一住みよいまち・北九州市」の実現に向け、オール北九州の力を結集して進んでいきましょう。

職員の皆さんの奮闘と健勝を心からお祈りを申し上げ、新年の挨拶とする。